この10年で「ジャパニーズウイスキー」は国際的な品評会で賞を受けることが多くなり、スコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダと一緒に、日本は世界5大ウイスキー産地のひとつに数えられるようになり、国内外で人気を集めています。日本のウイスキー作りの基となったサントリー山崎蒸溜所を訪ねる、おとなの週末旅はいかがでしょう。
ハイボールブームを追い風に、国内のウイスキーの需要は拡大し続け、消費量はブーム前の2008年に7500万リットルだったものが、2015年には1億3500万リットルにまで増大しました。海外輸出も2017年に549万リットルと過去最高を記録し、この10年間で5倍以上に増えました。それと同時に原酒不足の問題も表面化するようになりました。ウイスキーには、大麦を原料とするモルトウイスキーと、トウモロコシなどの穀類を原料とするグレーンウイスキーがありますが、現在人気を集めているのは単一蒸溜所のモルト原酒のみを使ったシングルモルトウイスキーです。製造手法の違いから、モルト原酒は大量生産できるグレーン原酒に比べて原酒不足に陥りやすく、生産各社は需要の調整を余儀なくされています。
ISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)で数々の輝かしい受賞歴を持つサントリー社の「山崎」、「響」、「白州」ブランドは、世界中で人気のシングルモルトウイスキーです。サントリー社の山崎蒸溜所は、京都の南西、天王山の麓にたたずむ日本最古のモルトウイスキー蒸溜所です。日本のウイスキー作りの歴史は、1923年この山崎で始まりました。
山崎蒸溜所周辺は万葉の歌に詠まれるほどの名水の里として知られ、環境省が選定した日本名水百選に選ばれた「離宮の水」が今も湧き出しています。山崎蒸溜所では、いく年もの年月をかけて育まれた、清らかで良質な地下水を仕込水として使用しています。また、周囲を豊かな自然に抱かれ、桂川、宇治川、木津川が合流する独特の地形は湿度が高くウイスキーの熟成に最適な環境で、まさに山崎の地はウイスキー作りの理想郷です。